2010年5月号
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「カンボジア」
シャーリー・シンクレア師
飛び上がったり、揺れたりしながら私たちの乗っているトゥクトゥクは細い路地を抜けていきます。
私たちはソムリァンの家に向かう途中なのです。今日は彼女の娘の結婚式。手伝いに来た私たちをソムリァン姉は大きな笑みをうかべて待っていてくれました。ぬかるんだ地面に靴がめりこみましたが、私たちは彼女のもとへ走りより、挨拶をかわしました。
曇り空の下、派手なピンクと黄金色の婚礼衣装に身を包んだ人々が集まってくる中、私たちは結婚式の前に雨が止んだことを神に感謝しました。
招待客の輪の中に入る前に、私たちはまずソムリァン姉の姉妹であり、花嫁の叔母さんのところに挨拶に行きました。婚礼準備の最後の仕上げをしながら、ソムリァン姉は姉の食事や洗面などがきちんと行なわれたかを確認していました。彼女のお姉さんは植物人間の状態でずっと床に伏したままなのです。
五十歳代のソムリァン姉はソーシャルワーカーとしてプリズン(刑務所)・フェローシップ・カンボジアという団体のもとで働いています。又、彼女は刑務所から出所した人々の社会への再適応を助けるクリスチャンによるプロジェクト、「青い門の家プロジェクト」の一員でもあります。
私と同僚のチャンドラ姉はOMFからこの団体に出向し、六人のカンボジア人ソーシャルワーカーたちを助ける働きをしています。彼ら自身も様々な重荷をその人生の内に抱えていますが、それでも出所して再び人生を新しく立て直そうとする何百人もの元受刑者の支援やカウンセリングにあたっています。
ソムリァン姉は元受刑者の家を訪ね、またある刑務所で出所後の生活について受刑者たちに教えます。又、個々のケースについて同僚たちとのミーティングを持ったり、さらには書類上の仕事をしつつ、助けを求めて訪れる人々の応対もします。既に仕事に慣れたプロジェクトのリーダーたちや上司たちが常にそばにいますが、ソムリァン姉は業務の多くを現場で直接身に着けています。
「青い門の家」では相談にやって来た出所者の帰りの交通費を負担し、必要ならば一晩の宿を提供します。出所者の多くは栄養不足で健康を害していますし、ほとんどの人は出所時にほんのわずかな所持品しか持っていません。ソーシャルワーカーたちはそんな彼らに健康診断や治療を受けさせ、最低限必要な身の回りの物を整えます。もし出所者たちが望むならば、就職活動の支援としてオートバイ修理などの技術訓練や小規模融資などの福祉サポートが得られます。
幼い頃、ソムリァン姉はクメール・ルージュの兵士たちの監視のもとで、貧しさと恐怖の中で育ちました。そんな彼女は今、刑務所での聖書研究や出所後のクリスチャンとの交流の中で、元受刑者たちが神に出会えるようにと熱心に祈っています。
女性受刑者の多くは詐欺、盗難、売春、児童売買、殺人の容疑で逮捕された人々ですが、実際に罪を犯した人々もいれば、恨まれて罪を着せられたり、他者の罪を着せられた人々もいます。ソムリァン姉はそんな彼女たちを分け隔てせずに愛し、世話を続けています。
カンボジアはあなたを必要としています!
ソムリァン姉はカンボジア人口千四百五十万人の中で二パーセントにあたる、二十万人のクリスチャンの一人です。カンボジア教会は飛躍的な成長をとげましたが、まだ多くの課題が残っています。多くの地域に教会がなく、イエス・キリストの名を全く聞いたことのない人々も多くいるのです。
社会事業、医療、農村開発以外にも、十九ヵ国からのメンバー八十人から成るOMFカンボジアチームは、教会開拓、学生伝道、クリスチャン文書・視覚教材などの作成、教会リーダーの育成にも力を注いでいます。
「仕事のためにコンピューターを覚えなきゃならないんですが、どのソフトもみんな英語仕様なのです」
「会議のために報告書を書かなきゃならないのですが、英語圏のエンジニアたちはどんな風に報告書を書くのでしょうか?」
「歯科医になりたいのですが、上級用テキストはみんな英語で書かれています。」
カンボジアは発展途上国の中で急速にその存在が認められてきています。そして向学心に燃える学生が大学にあふれています。そのような中で英語はいまやステータスを越えて、世界の国々とつながろうとしているカンボジアのあらゆる職業において必須の言語です。定年退職者も含め、英語を教えることのできるあらゆる世代に対し、カンボジアは門戸を開いています。(英語が母国語でない英語教師も同様です!)
英語教師やソーシャルワーカー以外にも、OMFカンボジアは大学講師、IT専門家、教師育成、宣教師の子供たちを教える教師、ヘルスケア、地域開発、医療、歯科、精神医療、教会開拓、学生伝道、印刷・出版関連、ラジオ番組製作やその他クリスチャンのための視覚教材作成の分野で専門家が必要です。
カンボジア国の発展のために、OMFメンバー八十人の内の半数は開発の働きや職業訓練、能力開発の分野で働いています。しかし同時に開拓者も必要です。全く未伝の農村が多い中、こうした過疎の地域に福音を伝える教会開拓者や地域開発者が求められています。
もし読者の皆さんの中で、神と近しく歩んでおり、キリストのみが与えられる希望や癒しを必要としている専門職の同僚やカンボジアの学生などに福音を証しすることを考えているならば、ぜひOMFにご連絡下さい。
カンボジアはあなたを必要としています。もしカンボジアで用いることができる技術を持っていて、神があなたを召しておられると感じているならば、どうか早く「来て下さい!」
「田舎と都会」
タイ 坂本朋子
真夏のタイからこんにちは。タイは四月が一番暑い時期であり、私の大好きなマンゴーが一番美味しい季節です。皆様の祈りに日々支えられてタイ語の学びも順調に進んでいます。「タイの社会はお互い助け合う、共存依存する社会。近所で冠婚葬祭があれば村人は皆助け合う。おかずが余ったら近所の人たちにおすそ分けする、等々。しかしこれは地方の話。バンコクなどの都会では近所同士でもお互いあまり話をしない。」これは今私がタイ語学校で勉強している「タイ社会」の教科書からの抜粋です。今私の住んでいるロッブリーは、都会と田舎の中間くらいかなと感じます。六年前にいたバンコクと比べると、確かにロッブリーでは生活のリズムがゆったりしていると感じますし、親切な人も多いのは事実です。しかし同じ町内に住んでいるイサーン(東北地方)や北部からやってきた人たちに言わせると、同じ町内でも他人と係り合いを持ちたくない人も結構いるそうで、「ここの人は冷たい」と言います。実際家の前で井戸端会議をしたり、ソムタム(青パパイヤのサラダ)を一緒に食べているのは、ほとんど田舎出身の人たちです。教科書から学ぶだけではなく、実際に周りにいるタイの人たちにタイ社会について色々と話を聞かせてもらいながら理解を深めています。
話は少し飛びますが、教会もロッブリーの街中の教会と田舎にある教会では何となく雰囲気も違います。新人宣教師はロッブリーでの研修中、近隣のどこかの教会に定期的に参加するように勧められます。私が通っているのは、ロッブリーの街中からバスで約一時間のコクサムロンという小さな町にある教会です。年配者と子どもが多い小さな教会です。タイも無牧の教会が多い中、この教会にはフルタイムの牧師がいます。イェン牧師はその名前の意味は「涼しい、冷たい」ですが、心は熱い先生です。礼拝の後のお楽しみは食事です。タイはどの教会も礼拝後必ず食事を共にしますが、コクサムロン教会のキンゲーオ姉の作る食事は絶品です。食事の後ものんびりとおしゃべりをしたり、マーケットで売るためのお菓子を作ったり、ココナッツの殻でおもちゃを作って子どもたちと遊んだりと、この教会にはタイの田舎らしい雰囲気が残っています。北タイの有澤先生ご夫妻は、かつてタイ語の研修中、このコクサムロンに住んでいたということを教会の人から聞きました。
もう一つコクサムロンと私の間に不思議なつながりがあります。以前の宣教ニュースでもお話しした隣のトイおばさんの実家は、コクサムロンなのです。ロッブリー県全体のクリスマス伝道集会にトイおばさんが来てくれたので、その時にイェン牧師を紹介することが出来ました。この小さなきっかけを主が用いてくれて、将来いつかトイおばさんも教会に足を運んでくれる日が来ることを祈っています。
まだまだタイ社会の表面しか見えていませんが、少しずつこの社会を理解しタイの人々に近づいていきたいと思います。
【祈りの課題】
1. 引き続き言葉の学びのためにお祈りください。単語、熟語、文法もより難関になってきました。理解し使いこなす能力を主が増し加えてくださいますように。
2. コクサムロン教会のイェン牧師家族と教会のメンバーのためにお祈りください。近くの村で家庭集会を始める可能性を祈り求めています。近隣のまだ教会のない町村に出て行って福音を述べ伝えることができますように。
「弱さのうちに働かれる主」
日本 木下理恵子
ある日の中国語集会。弟子訓練に来ているC姉妹がお友達のOさんを連れて来ました。Oさんは、教会は初めて。キョロキョロと珍しそうにみんなの事を見ています。
食事が始まり、みんなおしゃべりに夢中。そんな時に、去年の十二月に洗礼を受けたばかりのA姉妹が質問。「ねえねえ、教会って洗礼受けてから、礼拝に来なくなる人って結構いるよね。イエス様信じて洗礼受けて、それからずっと教会行かないで、それで死んだらどうなるの?天国行けるの?」みんなちょっと驚き、「Aさん、どうしてそんな事聞くの?」「だって、洗礼受けてから今まで、お祈りした事、何にも答えられないんだよね。家でも職場でもクリスチャンは私一人。どこ行っても神様はいない、神様はいないって言われて、何だかわかんなくなってきた。みんな、そんな風に疑問に思う事無い?もうクリスチャン、辞めようとか、思った事無い?」みんな一斉に「そりゃ、私だってあるよ。みんなも知ってるけどあの時、…」「僕だってそうだし、みんなあると思うよ。」等々、弱さ全開の会話が続きます。初めて来たOさん、ちょっと驚いたような顔で、ニヤニヤと聞いています。そのOさんを見ながら「ああ、主よ。初めてキリスト教の集会に来て、この会話とは。Oさんどう思っているのでしょうね。でもまあ、主はすべてご存知。すべての事を感謝せよだから、これも感謝か…」みんなとしては、自分なりの証しでA姉妹を一生懸命励まそうとしています。
受難節だったので、聖書の学びはイエス様の十字架。学びが終わっても、いつものようにおしゃべりが始まりません。「どうしたの?もう終わったよ。大丈夫?」と思わず聞くと「うん、知ってる。何だかイエス様の十字架、私、ちゃんと判っていなかったなって…」みんなの心に主の御受難がドーンと響いたようです。
数人のグループに分かれて祈った後、次回の弟子訓練の時間確認をしていると、例のお友達Oさんを連れて来たC姉妹が「それ、土曜日にしてもらえるかなあ。土曜日だったら今日来たOさんも来られるから。彼女も一緒に聖書学びたい、来たいって言ってるの。」なんとなんと、あの弱さ全開の会話を聞いたOさんが、もっと聖書を学びたいとは!弱さのうちに完全に働かれる主に感謝!
と言う事で、弟子訓練のグループの一つは、求道者Oさんを含めた福音的な聖書研究になります。この集会の直後、Oさんは中国にお里帰りしたので、彼女の帰りを待っています。Oさんの求道の思いが消えることなく、これから一緒に聖書研究が始められるよう、そしてOさんが救われるようお祈りください。皆様の御祷援、心より感謝します。
【祈りの課題】
1. 5月20日にカンバーランド長老教会の連合婦人集会で、「私たちにできること」として在日外国人伝道について話します。参加者がこのビジョンを共有し、具体的にこうした伝道に関わってくださるように。
2. C姉妹が連れて来たOさんが中国から帰国後、一緒に聖書研究を始められるように。Oさんの救いのために。
「思いをはるかに越えて祈りに答えて下さる主を賛美します」
日本 ディアスポラ伝道 横山好江
ディアスポラ伝道会議のためにお祈りいただき、ありがとうございました。主は豊かに答えて下さり御名を崇めています。OMFセンターはじめ愛する兄姉のご協力をいただき、一行十六名をお迎えすることができました。最初の週のリーダー会議では重要案件を話し合い、決めることができました。その一つはアフリカにおける中国人対象の働き。中国人労働者が万単位でアフリカに出稼ぎに行っています。そのほとんどは母国に帰ります。この好機をどう生かすか、リーダー二名が二月にアフリカ数カ国を視察し、現地教会・団体と話し合うことができました。現地の方々と協力しながら、どのように働きを行なっていけるか具体的に探り進めていくことになりました。
第二週では訓練会を行い、戦略的に働きを進めるには、という点を教えられ、それぞれの立場で具体的に策を考えました。
第一週と第二週の間にあった全国帰国者大会に参加し、夫と共に感謝のうちに奉仕させていただきました。帰国者と教会の橋渡しをする「ブリッジビルダー」となるよう重荷が与えられている方々が多く起こされ御名を崇めています。「帰国者クリスチャンを理解するために」という小冊子を、JCFNの協力のもと出すことができました。興味のある方は私までご連絡下さい。
【祈りの課題】
1. 2年間ディアスポラ伝道部の部長として奉仕されたウィットボイ師は、この責任を後継者に譲り、夫人と共に宣教師として入国できない国での次の奉仕に向けて準備を進めます。主の導き・助けがありますように。
2. 3月15〜26日に、市川のOMFセンターで行なわれたディアスポラ伝道部会議で決議された事柄を、主の御心に沿って着実に進めることができるように。
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