2009年5月号
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「『外国の中国人』と呼ばれて」
―J.H.テーラー師の生涯―
OMF(国際福音宣教会。元CIM―中国奥地伝道団)の創設者ハドソン・テーラーの曾孫にあたるJ・H・テーラー三世が三月二十日早朝、肝臓ガンのため、香港にて召天しました。享年七十九歳でした。
一九二九年八月十二日中国河南省、開封生まれ。両親はフリー・メソジスト教会派遣の宣教師として中国で仕えていました。太平洋戦争中、宣教師子弟学校のチーフー・スクールが日本軍の収容所に移され、十二歳のテーラー少年は兄弟と二人の姉妹と共に、収容所で三年間を過ごしました。当時同じ収容所で子供たちにスポーツを教えていたのは、「炎のランナー」で知られるエリック・リデル師です。
収容所での生活は過酷なものでした。夏の焼け付くような暑さ、ハエの大群や多くのネズミに子供たちも耐えなければなりませんでした。そのような厳しい状況の中で、テーラー少年の心に焼きついたのは、彼らと共にいた信仰篤い祖父の姿でした。後にテーラー師はこう書いています。「私は祖父を見て、信仰生活がどのようなものであるかを学びました。祖父は一日をまず主に賛美をささげることで始めていました。」一九四五年八月に収容所は解放され、テーラー少年たちは両親に再会し、一家は再び一つになることができました。
その後テーラー少年はアメリカに戻り、ミシガン州のスプリング・アーバー・カレッジ、イリノイ州のグリーンヴィル・カレッジ、アズベリー神学院、さらにエール大学院などで学びました。そして一九五一年に結婚。五五年には妻レオーネと共に宣教師として台湾に遣わされ、そこで三人の子供たちが与えられました。一九六〇年から十年間は、父親が創設した聖光聖書学院の校長の任を務めました。一九七〇年、台北の中華福音神学院(CES)校長に就任、「中国人の大卒者に神学を学ぶ機会を」というヴィジョンを、広く世界中の中国人教会に伝えて廻りました。
一九七九年、テーラー師は団体創立者の子孫としては初めて、OMFの第七代総裁の働きに招かれ、一九八〇年七月一日に着任しました。一九八〇年代、特に日本、フィリピン、香港の新しい都市部での働き、又、台湾での文書伝道や工場労働者への働きなど、各宣教地でOMFの働きは確立と成長を迎えました。当時の中国は「四つの近代化政策」に伴い、専門職を持つ人材に門戸を開いており、テーラー師のリーダーシップのもと、中国への働きが進み続けました。中国をよりよく知るためのセミナーがイギリス、北米各地で始められ、中国語の伝道文書の製作と配布にも新たな力が注がれました。
一九九一年、テーラー師夫妻はOMF総裁の責任を後継者ピッカード師に渡し、中国人への働きのさらなる機会を模索すべく香港に移り住み、一九九三年に他同労者二名と共にMSI(メディカル・サービス・インターナショナル)を設立しました。同団体は現在中国政府の要請に応えて、様々な分野の専門家を中国に送り続けています。
MSI創設者として主に仕えた十年間、中国語に堪能で、中国文化を深く理解するテーラー師は、多くの中国人公務員や教会指導者からの信頼と尊敬を得て、中国人の友人・知人たちから「老華僑」と呼ばれていました。二〇〇七年四月には四川省の一郡において、名誉市民の称号を与えられています。
テーラー師は、七世代に及ぶクリスチャン一族として持つ霊的遺産を忠実に継承しました。そして又、彼自身が残した霊的遺産も次の世代に受け継がれていくことでしょう。
テーラー師著のハドソン・テーラーの義父の生涯をつづった「死に至るまでも(仮訳)」、イレーヌ・チャン師と共著の「サミュエル・ダイヤーの生涯と霊的遺産(仮訳)」が今年出版予定です。(日本出版未定)
「フィリピンは暑い!そして熱い!」
日本 佐味湖幸
三月十八日春らしい暖かな日、二人の若者と短期宣教旅行に出発しました。着いた先は、これから一年で一番暑い時期を迎えるというフィリピン。汗が滴ってきます。
私は一九九三〜九五年と二〇〇二〜〇五年の計五年間をミンドロ島で過ごしました。今回はその古巣で短期宣教プログラムをさせていただきました。昔、音楽を教えたミンドロ神学校で宿泊し、隣のピリ村にあるピリ聖書教会で交わりと奉仕の時が与えられました。
日本でもご協力いただいているクロスステッチ・プロジェクトによって運営されているアガペー子供開発センターの第五回卒園式に出席し、この五年間の主のご真実さに、今一度主の御名を崇めました。十七人のかわいい子供たちが元気よく卒園して行きました。今は、もう栄養失調の子どもがいなくなったそうです。
翌日はミンドロ神学校の卒業式。校長は私の教え子でもある第一期卒業生のドルハン師。貫禄が出てきました。今年は六名が四年間の学びと訓練を終えて卒業しました。その内、二人はピリ聖書教会からの献身者です。ジェイマール牧師は二十六歳、ネップ牧師はまだ二十一歳。これから色んな試練が待ち受けていることでしょう。主の支えと導きを祈りました。
さて、今回このプログラムに参加したのは、笹岡祐君十六歳と、前田幸さん二十歳の二人です。期間中、地元のピリ高校の道徳の時間に証をしたり、折り紙を教えたり、生徒たちと交流しました。また、ピリ聖書教会の四か所の開拓地を訪問し、トラクト配りや祈祷会、聖書研究会に出席し、証や特別賛美の奉仕をしました。タガログ語の学びにもチャレンジ。最後の日曜日の礼拝ではそれぞれタガログ語で自己紹介をしてから証をしました。
積極的に人々の中に入っていき、友達を作っていく様子や知らない人の家にもトラクトを持ってどんどん入っていく姿に、なかなか頼もしさを感じました。ピリ教会の方たちはそんな私たちを熱烈大歓迎。歓送会は涙涙でした。彼らにとって、この経験は、単なるいい経験で終わるのでなく、きっと将来に神様が用意されている何かに対するよい準備だったのではないかと思います。
二人の証はホームページに掲載される予定です。どうぞご覧ください。
【祈りの課題】
1. 3月の短期宣教プログラム、フィリピン・ミンドロ島への旅が祝されたことを感謝。参加された二人の若者が主からの恵みを教えられたことを周りの人たちと分かち合う事が出来るように。また、将来の導きのために。
2. ピリ聖書教会出身の献身者たちが、新しい奉仕地で働き始めました。シャーマン牧師(ピリ聖書教会)、ジェイマール牧師(ピリ聖書教会の開拓教会アッパーブゴール教会)、ネップ牧師(マサガナ教会)。それぞれの歩みが主に守られ祝されますように。
「心の闇に光を」
カンボジア 今村裕三、ひとみ
暑い暑い。毎日温度計は三十五度を超えたところを指しています。
「この時期は、気候の影響で特にストレスが高いので、夫婦・家族の関係をいつもより大切にしましょう」と、国際教会の牧師が警告を発しました。宣教学の教科書などにも「異文化の状況では、母国で出てこなかった問題が溢れ出てくる」と記されています。主によって解決されていない心の闇の部分が対人関係・神様との関係のなかでいろいろな症状として出てくるのかもしれません。
母国にいる時には気付いていなかった様々な自分の、そして家族の問題が出てきます。五年前、カンボジアに派遣されてすぐに私たちの夫婦の関係についてお祈りして下さいと祈りの要請をしました。お陰様で四年間のカンボジア奉仕の中で夫婦の関係が守られ、同時によき訓練を頂きました。今期もその祈りの要請をまずさせていただきたいと思います。私たち夫婦は日本人なのですが、お互いに日本語が通じないときがあります。夫婦の関係が神様にあって健全でなければ、神様に喜んでいただける奉仕もできません。
今、夫婦の危機という訳ではありませんが、私たちの心の闇の一つ一つに神様からの光が与えられて、共に恵みを味わい、「一つにされる」ということを体験し、主の救いの素晴らしさをもっと伝えていくことができますようにお祈り下さい。 (裕三)
先月号でビザに関して「見通しがついてきた」とお知らせしましたが、またもやひっくり返りました。秋から政府と交渉し、苦労して問題点を解決し、もう大丈夫!と思いきや、今まで聞いたこともない苦情を言ってきました。
問題の解決のため、その役人とOMFカンボジア代表のデイブ師が面会の約束をしましたが、すっぽかされました。カンボジア人曰く「カンボジア人は自分が権威を持っていると相手に見せるために、わざと約束をすっぽかす」ということでした。
翌日に面会は出来ましたが、他の書類を整えることが必要となりました。デイブ師は去年の秋から長期にわたる外国語での、しかも相手は親切ではない交渉に疲れていることと思います。しかし彼は「主に信頼しよう!」と皆を励ましていました。
OMFカンボジア・チームには去年から色々なことが起こっています。ご主人の腸の難病が見つかり帰国した家族。母国で癌の治療中の人。息子が「てんかん」を発症し、治療が上手くいっていない人。息子を病気で失い、その悲しみの中で活動を再開した矢先、他の子どもの精神的な問題で帰国せざるを得なくなった家族。OMFが関わっているバス貸出業のバスが事故に巻き込まれてしまい、こちらの過失は無かったのに、賠償金を払わなければならなかったこと、等々。
また、少数民族の教会で分裂が起きそうな状況です。そして現地教会のカンボジア人若牧師夫婦が「離婚」を考えるような夫婦の問題を抱えています。
そのような問題の中に神様のご栄光が現されますように、そして、問題に振り回されて、神の恵みから目を離すことがないようにお祈りください。(ひとみ)
【祈りの課題】
1. 5月12日から15日までカンボジア教会交友会(FCC)の牧師・リーダーを対象にした訓練会が行われます。「人間関係の危機管理と牧会配慮」「教会開拓伝道」「聖書的リーダーシップ論」「御言葉の学び」の4つのテーマについて学びます。よき訓練の時となりますように、お祈り下さい。
2. 夫婦の関係の祝福のために。コミュニケーションが守られ、お互い主の僕として受け入れ、愛し合うことができますように。ともに祈る時が祝福されますように。裕三師は、5月18日から29日まで教会開拓伝道方策についての研究・訓練会に出席します。よい学びが出来ますように。
「土台作り」
カンボジア・ニャックルアン 西村信恵
大きな砂の山、砂利の山、鉄骨の山、あちこちに掘られた穴、これが、今ニャックルアン教会の礼拝所から裏庭を見たときの眺めです。バスケットコートは砂山と砂利の山によって占領され、しばらくは青年たちの遊び場もお預けです。十月開園予定で、三月半ばより、ニャックルアン教会の幼稚園建設が始まったためです。建設を始める前には、教会員たちが集い、建てる場所で礼拝し、お祈りする時を持ちました。カンボジアは、地面を掘り、均したりするのも全部、機械でなく労働者たちの手で行われるので、とても時間がかかります。埋める石や砂を運ぶのもバケツで少しずつです。鉄骨も一つずつ手作業で必要な長さに切り、曲げたりして準備がなされています。作業を始めて二週間経ちますが、まだ、地面を掘る段階です。そしてつい最近、間違った場所に穴を掘ってコンクリートを流してしまった場所が見つかりました。またそこを掘り返し、別の場所に移動しないといけません。労働者はこのくらいは大丈夫、といいますが、建物のことを考えると、柱の建つ場所にこそ鉄骨が必要なので、やり直しをしなければなりません。掘るには前の倍以上時間がかかりますが、大切な作業です。その作業を見ていると土台作りがものすごく大事なことが分かります。時間をかけて、綿密に、適切な場所に穴を掘り、鉄骨を埋め、そしてしっかり固めて土台作りをしないと何年も持ちません。 間違いをごまかすと、何年も後にその問題により、建物はだめになります。時間はかかりますが、時間をかけてじっくり土台作りをするからこそ、何年も建物が持つことを思い、今、リーダーたちの訓練と成長に時間をかけつつなかなか成果が見られないことに、宣教師の私たちはがっかりしがちになりますが、今はこの土台作りをしているのだと思わされました。主に期待し、リーダーたちのために祈り、励まし、成長を支えていくことをもう一度チャレンジされました。
教会ではイースターまでの三週間、毎日夕方祈祷会の時が持たれました。カンボジアのために、ニャックルアンのために、自分が誘ってきたい人のために、そして、自分自身のために、ともに集って賛美し、祈る時間です。この時を通して見えない祈りの力を教会員一人一人が体験し、祈りの生活、主との交わりの時を身につけることができますように、そしてそれが彼らの信仰生活の土台となるようにと祈らされています。
私自身は二月の終わりにコンピューターが故障し、一か月近くも他人のコンピューターを借りたり、教会のコンピューターを借りたりして過ごし、暑さも重なりストレスの月となりましたが、主は支えてくださり、日本のOMFの事務所の方々も手伝ってくださり、今は無事に新しいコンピューターで仕事をすることができて感謝しています。ただ、この間、前のコンピューターのメール情報を失ってしまい、お返事の出来なかった方々がいます。大変申し訳ありませんでした。この場をお借りしてお詫び申し上げます。
【祈りの課題】
1. 5月は青年会でも家族というテーマでメッセージがなされ、夫婦セミナーも行われる予定です。これにより、主にある良い家庭がどのようなものか教会員が理解でき、家族が祝福されますようにお祈りください。
2. ジョムラウン兄弟、ホイ兄弟、スレイモン姉妹の信仰の成長のために、次の青年たちのリーダーとして立っていくことができますように。
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