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2015年5月号  page1  page2


「疲れた人への冷たい水」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ

左からバンドゥーラ教会宣教部長、OMFビクトリア州・タスマニア州主事、宣教師になることを祈っている神学生  複雑で緻密な文法分析と論文執筆に根を詰めるのは、モグラかウサギの穴に頭を突っ込んで、首が抜けなくなったような気持です。そこへパッと明るくなったような、背筋を伸ばして空を見上げて深呼吸できたような、励ましの便りを受け取りました。

 メールは十年ほど前、修士論文の審査員をしてくださった聖書翻訳者からでした。「あなたの祈りは聞かれていますよ。あなたのかつての学生がクリスチャンになって、いま私たちの翻訳聖書の校正を手伝ってくれています。知っていましたか?」

 この学生はチェンライ県の大学で「言語学入門」、「野外言語調査法」など三期に渡って私の授業を受講していました。彼女はタイ国内に話者が二四〇人しかいないビス族の人です。(民族的には七〇〇人いるそうですが、四六〇人程は自分の言語を話せなくなっているようです。)言語調査法の授業でクラスを小グループに分け、いろいろな民族の村で基本語彙収集などをさせました。彼女はビス語を知らない同級生たちのグループを引き連れて自分の村へ行きました。年長者から聞き取り調査をし、レポートにまとめクラス全体へ発表しました。

 タイの人口六七〇万人の内、七百人の民族です。出身を隠したくなるのが普通です。でも彼女は同級生を村の年長者に会わせ、自分でもビス語を教え、誇らしく小論文を発表したのです。私は嬉しくて「パヤップ大学院言語学部に奨学金で行けたらいいなぁ。そこでクリスチャンになれたらいいなぁ」と祈りとも言えない願いを抱きました。

 ミェン族の子供たちは、小中学生のころからタイ人に「ケムシ」とか「ゴキブリ」と呼ばれるので、思春期にはミェン語を話すのが恥ずかしくなります。「話すものか!」という気持ちになるのです。翻ってビス族の彼女は「ビス語は大切だ。行けるなら大学院に行ってビス語の研究をしたい」と言っていました。「主よ、こんな田舎出身の彼女に大学院に行く道など開かれるでしょうか?」と祈りました。

 でも、今はイエス様を信じる人となり、自分の言語に翻訳された新約聖書のチェック作業をしているというのです。ああ、主よ。何と言ってあなたに感謝を捧げたらよいでしょうか?どうか姉妹の翻訳チェック作業を祝福してください。旧約聖書の翻訳までできるように導いてください。どうか、ミェン族の青年たちの中からも、自分の言語に誇りを持つ人たちを多く起こしてください。ミェン語識字教育者になる人々を、ミェン語研究者になる人々を起こしてください。ミェン語を基にしてキム・ムン語聖書翻訳をするミェン族が立ち上がりますようにお導きください。大祭司・同情に富めるイエス様のみ名によって祈ります。アーメン。セラ

 さて、二〇一五年一月号で次のようにお祈りをお願いしました。「ミェン族と近い関係にあるキム・ムン族のクリスチャンから再び、聖書翻訳の要請が来ました。主が外部から翻訳者を遣わしてくださるか、内部からキム・ムン族の翻訳者を養成してくださるようお祈りください。」このことに関してお祈りしていただいた一月~三月の間に、進展がありました。かの国を訪問した友人が良い知らせを持ち帰ってくれたのです。六人のキム・ムン族の兄弟たちがミェン語聖書を元に翻訳を進め『四福音書』が出来上がったとのこと。

 私は十年前に初めて会い、僅かばかりの基本単語収集をしました。八年前に、ミェン語に倣って彼らが考案した書記法のサンプルを少し教えてもらいました。その時、その文字が言語学的に正確かどうか調べてほしい、聖書翻訳を始めてほしいと、切実な要請を受けました。しかし、ミェン族のことにかかりっきりだったため、要請に応えないまま今に至っていました。そこへ何と、友人に託しキム・ムン語に翻訳された『マタイの福音書』を贈ってくれたのです。外部からの専門的な助けなしに、彼らが伝道・牧会のかたわら六人で手分けして、十年の間にミェン語からキム・ムン語へ『四福音書』の翻訳を成し遂げていたのです。

 私は十年間放置したことをお詫びし、どんな翻訳でもチェックが必要なことの理解を求め、外部コンサルタントを探しても良いかどうか許可を求める手紙を書きました。この手紙が彼らに届き、協力関係が強化され、働きが更に前進するようお祈り下さい。

 メルボルンのバンドゥーラ長老教会では、宣教部を中心に来年七月に予定されているタイ国ミェン族への短期ツアー参加者の募集が始まりました。神様に選ばれた人々が応募するようにお祈りください。

【祈りの課題】
1.5月タイにいる間に、キム・ムン語聖書翻訳のコンサルタントになってくれる人を探します。ふさわしい人に会えますように。
2.5月中にミェン語文法事項の全ての疑問点をグエイフォン長老に質問し、解明することができますように。また月末チェンマイで行われる言語学会での発表のために。


「敬愛する二人のシンガポール人の死に際して」
シンガポール 佐味湖幸

 三月五日、シンガポール人宣教師の蔡孝全師が壮絶な闘病生活の末、天に召されました。蔡師は奥様の香師と共に、北海道聖書学院で教鞭をとられ、また札幌で教会開拓にも関られました。五十五歳、まだまだこれからが期待された神学者であり、宣教者でした。有能かつ温かな人柄から多くの仲間や学生たちから尊敬され、慕われました。前夜式で彼を知る人たちは、繰り返し蔡師の日本への愛と日本宣教への情熱を証しました。それを聞きながら心に浮かんだみ言葉は、「一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、それは一つのままです。しかし、もし死ねば、豊かな実を結びます」でした。主が蔡師の残した証を用いて、人生を主に捧げ、宣教に立ち上がる人たちをシンガポールから、また日本からさらに起こして下さるようにと祈りました。残された香師と三歳になったばかりの愛娘愛莉ちゃんの上に主の慰めと力を祈ります。

 その約三週間後、シンガポールの建国の父と呼ばれる初代首相リー・クワンユー氏が九十一歳で亡くなりました。今年はシンガポール建国五十年の記念の年です。この短い期間にこの国をここまでの繁栄と成功に導いた、稀に見る有能な指導者でした。多くの人が国会議事堂に安置されたリー氏への最後の別れのために、日中三十度を超える中、また深夜に至るまで七時間も待つ長蛇の列を作っていることが連日報道されました。リー氏がどれだけ慕われ、尊敬されていたかが伺えます。私は彼の目先の利益ではなく先の先を見通す力、そのビジョンとそれをやり抜く行動力に驚きをいだき、敬意を表します。ある人は彼がどれだけ家族を、そして祖国を愛したか、その愛が彼を動かし、国を動かしたと言います。

 折しも受難節のことではありますが、二人の尊敬すべきシンガポール人の死に際し、私たちのこの世での歩み、主からいただいた人生と賜物を何のためにどのように用いるのか、また自らの死への備えと、後に続く者に何を遺していくのかなどを考えさせられます。死に向かう苦しみの現実についても考えさせられましたが、私たちキリスト者は主にあって、死の勝利への確かな希望があることを再び確信し感謝しました。

【祈りの課題】
1.4月29日から5月13日までアフリカ3か国、タンザニア、ケニア、ウガンダを訪問しています。旅の安全が守られ、行く先々で実り多い話し合いができますようにお祈りください。
2.5月26日から6月5日までフィリピンへ行きます。知り合いの結婚式に証人として出席することと、チリからの短期宣教師に会うためです。主の祝福と守りのために。


「親離れ子離れ」
カンボジア 今村裕三、ひとみ

カンボジア教会交友会の牧師・リーダーの皆さんと  三月初めに、OMFとカンボジア教会交友会(FCC)のリーダーの会議が二泊三日で行われました。二〇一三年十二月に新しいFCCの役員が選ばれ、新しい規約が承認されたのですが、会長の牧師が多忙であったり、OMFのほうも体制が変わる中で、昨年はFCC全体としての活動がありませんでした。そのような中で、OMFとFCCの協力体制を現状にあったものにするために今回の会議が持たれました。お互いに知り合うことから始めて、大まかな方針とお互いの責任分担について確認がされました。これからは現地の諸教会の必要に応じて、OMFも相応しく協力していき、また、一緒に教会開拓に関わる可能性も探ります。しかし、現在最も必要とされていることは、現地に主の器が備えられることです。どうぞカンボジアの教会の牧師・リーダーの霊的成長のためにお祈り下さい。カンボジアでは宣教団体と開拓した現地教会の関係を親子関係に例えられることが多いのですが、両者ともに健全な親離れと子離れをしていくことが必要です。宣教団体が現地の教会グループの方向性を一方的に決めるのではなく、大人の関係になるための通過点です。そのような意味では、青年期に入ったFCCと言えるでしょう。これをもって私たちはFCCのための相談役という立場を降り、FCCとOMFの協力体制に応じFCCに属する諸教会に協力していくことになります。これからOMF側のFCC担当になるクレッグ・マロー師の奉仕のためお祈りください。(裕三)

 前任の宣教師から教会学校を引き継ぎ、はや四ヶ月。教師の男女交際、突然辞めるなど課題は沢山ありますが、今回は教会学校全体のことをお祈り下さい。

 今年の教師側の目標は「イエス様が私達を愛し導いて下さった様に、子供達を愛し導く」です。年初にそれを実践するために自分は何をするかを話し合ってもらいました。「子供を励ます」「子供の家を訪問する(カンボジアの学校では家庭訪問が無いので何て素敵な意見でしょう)」「新しい子供が来たら馴染む様に助ける」など良い意見が沢山出ました。

 しかし、実践の様子が見られません。二週間後には目標どころか、自分達で作った目標のポスターの存在も忘れています。どうしたら良いのか?と思っていた矢先に問題が起こりました。三ヶ所やっている教会学校の内、二ヶ所の生徒が激減したのです。他の教会で教会学校が新しく始まり、そこの高価なおやつ目当てで子供が減った事は過去に何回かありました。でも今回は原因が教師にも分からない様です。

 でもピンチはチャンスです。「原因は?どうしたらいいの?」など考えてもらうことで気がついた事がありました。一つは教師が子供達の事をそれほど知らない!また、教会の人に祈ってもらったが、一度だけでそれ以降続けていない等々でした。どうする?と投げかけ、「一人一人の子供に声をかけ励ます」「教会全体に祈りの要請を繰り返し出す」等をすることとなりました。カンボジア教育は教師の言うことを丸暗記するのが主流です。自分で考え、言葉に出し、行動を変える事に不慣れです。かく言う私もどこまで言っていいのか、行動が見られない時にはどうしていいのか揺さぶられています。

 教師が子供を愛し導けるように、私が自分の思う様にではなく、神様が育てて下さることに望みの全てを置くことができる様にお祈り下さい。(ひとみ)

【祈りの課題】
1.裕三師の対外奉仕の関係で、5月の半分以上ひとみ師は一人でストゥントラエンに残り奉仕します。奉仕の祝福と教会学校の先生たちへの励ましのために。また、生活の安全と守りとのためにもお祈り下さい。
2.昨年11月に引き続き、裕三師は5月11日から15日まで第2回目の宣教師訓練を導くために、市川のOMFセンターで奉仕します。対象は日本で奉仕する宣教師です。参加者にとって主からの学びの時になりますようにお祈り下さい。


「神様の足跡を残して」
日 本 主事 西村信恵

目を開けたまま祈っています  暑い日差し、車やバイクの排気ガスと砂埃、騒音の街の中を地図を見ながら祈りのガイドマップの説明を読みつつ、祈っていきます。三月十~二十日、私を含め計四名で東南アジアの宣教の自由のない国を訪ね、祈りの旅をしてきました。旅は南から始まり徐々に北へ向かいました。その所々で神様に仕えておられる働き人達に会い、なぜこの国に導かれたのか、どのような働きをしておられるのかを聞き、そしてその街でプレイヤーウオーク(祈りながら歩く)をしていく旅でした。初めは歩きながらおしゃべりをするように二人一組で祈るやり方や、皆で輪になって目を開けて話すように祈る方法に戸惑っていたチームメンバーも、日が経つにつれ、目にとまるもの―例えばタクシーの運転手が飾っている小さな仏像を見たとき、または街中のお寺を見たときに、運転手や街の人々のための祈りをする、というように―目につくものについて祈るようになりました。そのようにしていくと不思議なことに、神様の目を通してその街を見、祈りに導かれる感じでした。

排気ガス対策マスクです!  働き人達の証しを通し、神様の確かな導きと助けを思わされました。この国を愛しておられる神様が、世界のいろいろなところから働き人を召し出され、その人たちを通して今ここで働いておられるという素晴らしい事実に圧倒されるものでした。ある働き人は「初めにこの地に来たとき、天気が悪く、自転車泥棒にもあい、色々な不便さに辟易していました。その中でビザが取れないかもしれないという事態に陥った時に、そのようないろいろな不便さが取るに足らない問題に思え、『神様、この地が私の住むところです。ビザを与えてください』と祈る姿勢に変えられ、神様が困難を通して一番大切なものを見せて下さり、神様に心から従えるように変えてくださった」と証しされました。働き人ひとりひとりの神様に素直に従う心、また謙遜に現地の人々に仕えていく姿勢にも多く教えられました。三人の参加者の顔も日が経つにつれ生き生きとし、神様からそれぞれチャレンジを与えられていたことも嬉しいことでした。「私たちが祈った足跡は、まるで神様が足跡をつけたよう」と参加者の一人が言いました。どれだけの祈りがこの国で積まれ、神様の業が進んできたことでしょう。この国での働きの一部として、私たちも祈りによって参加できたことを感謝すると同時に、さらなる祈りの必要を覚えつつ、この旅を終えました。

観光施設の少数民族村にて 【祈りの課題】
1.3月の祈りの旅に参加したひとりひとりが、神様からのチャレンジに応答していく歩みができますように。彼らの今後の導きのために。
2.6月の150周年宣教大会の準備、8月のチームを連れてのM国訪問準備を進めています。ひとつひとつ主の助けがあり進めていくことができますように。

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