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2014年9月号  page1  page2


「預言者から救い主へ」

あるモスク近郊の市場にて(写真の人物と本文とは関係ありません)  今東アジアでは、新約聖書でキリストのことを読み、自分自身でキリストを知りたいと願うイスラム教徒が増えています。以下の人々はその実例です。

ハミッドの物語
 ハミッドはいらだっていました。彼の妻と村の二十四人もの隣人たちがイサ・アルマシ(救い主イエス)に自分たちの人生を捧げる決心をしたのです。ハミッドは妻に強く迫り、無理にでも元の宗教に戻らせようとしましたがむだでした。それどころか妻は大胆にも夫のハミッドも彼女が信じている福音を信じてほしい、と説得しようとしたのです。しかし彼には外国の宗教と関わりを持つ気はさらさらありませんでした。
 ところがある日のこと、ハミッドは事故に遭遇し、村の医師のもとにかつぎこまれました。しかし医師はハミッドの脚のひどい怪我の有様を見るなり、「自分には手のほどこしようがない」と匙を投げてしまいました。
 回復はほぼ絶望的、と言われたハミッドは、そのまま自宅に戻されました。しかし彼が驚いたことには、彼が拒絶したそのイエスを信じる隣人たちが見舞いにやって来たのです。そして彼に手を置いて、救い主イエスの名によって祈ってくれさえしたのです。
 その一週間後、そこにはすっかり怪我が回復して自由に歩き回るハミッドの姿がありました。そして今では彼もイエスを信じる者となっています。それだけではなく、彼は隣人たちの祈りの答えにもなりました。隣人たちは村で読み書きができる人物が信仰者に加えられるようにと祈っていました。そしてハミッドがその第一号になったのです。

エスターの物語
 エスターは彼女の属する部族で最初にイエスを信じた人でした。その何年か前、エスターはイエスの幻を見ました。ほとんどのイスラム教徒がそうであるように、彼女はおびえ、幻のせいで自分は死んでしまうのではと恐れていました。彼女は死にはしませんでしたが、家から遠く離れた場所で重い病にかかってしまったのです。
 誰か会いに来てくれないかしら‥‥。病院のベッドの上で彼女は孤独感にさいなまれていました。そんなある日、数人のクリスチャンが彼女の病室を訪れたのです。そして彼らはエスターにいろいろ尽くしてくれるようになりました。それはほんの小さな親切でしたが、そうした小さな愛の行為一つ一つがエスターの心にしみこんでいき、彼女の心から次第にイサ(イエス)とイサを信じる人々への恐怖が取り払われていきました。そしてそれらがやがて彼女が真理へと到達する道を開いたのです。
 退院してしばらくたったある日、エスターはある欧米人クリスチャンたちが彼らの家のお手伝いさんたちのために聖書の学び会を開いている、と聞きました。そこで彼女はさらにイエスを知り、将来信仰のゆえに迫害されるであろうことも覚悟の上で、イエスを救い主として信じる一歩を踏み出したのです。

アブドラの物語
 友人ユセフが刑務所から出所してきた時、彼のあまりの変わりように、アブドラはすっかり驚いてしまいました。
 「ユセフ、なんでお前はそんなに変わったんだい?」
 「アブドラ」とユセフは応えました。「お前に聞きたいんだが、イサ・アルマシは今どこにいると思う?」
 イスラム教徒はイエスが神の預言者で、十字架刑の前に地上から救出されて神と共に天国に生きていると信じています。そしてイエスは人間を裁くためにまた地上に戻り、結婚し、子供をもうけ、やがて死ぬと信じられています。
 「神と一緒に天国にいるのさ!」とアブドラは答えました。
 ユセフは微笑んでやさしく彼に言いました。「じゃあさ、アブドラ!イサが今も生きているのなら、彼には従う価値があるとは思わないか?」
 この問いはアブドラの心に強く迫り、次の日彼はユセフと共にクリスチャンたちを訪ねて行きました。そしてそこで、この熱心なイスラム教徒のアブドラはイエスについて多くのことを学んだのです。
 「それで僕たちは一緒に祈り、僕は自分の人生をイサ・アルマシに捧げたんだ。」こうアブドラは彼の証を締めくくりました。

ビルの物語
 ビルは早起きもコーヒーも好きではありませんが、毎朝六時半に地元の村の喫茶店に行き、甘いブラックコーヒーを飲み、そこの男たちとおしゃべりをします。村の情報を得たり、新しい言葉の表現を学んだり、何よりお客たちに聖書の物語を伝えるにはよい方法だからです。
 ビルが住む村のイスラム教徒たちは、イエスが語ったたとえ話や預言者の話を聞くのが大好きで、特にそうした話が日常生活にもつながるとわかると、ますます熱心に耳を傾けます。彼らはイエスを救い主としては知りませんが、熱心にイエスについて知ろうとしています。

 かつてイスラム教徒で、今はイエスを信じ、他のイスラム教徒に証を続けているある女性はこう言いました。「罪と恵みについて、その意味が分かり始めるのに百回以上もそのメッセージを聞く必要があったのよ。」
 東アジアのイスラム教徒の中で、神は大きなみわざをなしておられます。しかしまだ多くの人たちが福音を聞いたこともありません。神のみわざにあなたも加わりませんか?働きは時間がかかるでしょう。犠牲も払うことになるでしょう。でもそれだけの価値は確かにあるのです。(文中の人物名は仮名です)


「座談会 ― いざ、次の段階(ステップ)へ」
日 本 主事 西村信恵

座談会の様子  七月最後の土曜日の昼前、ジリジリと暑い日差しの中を汗をかきながら、六名の方々が市川のOMF事務所へ来てくださいました。過去のOMF短期宣教プログラム、またはAFMC(アジア・フロンティア・ミッション・カンファレンス)に参加したことのある方四名と、KGKの世界宣教委員の方二名です。
 
 来年OMFインターナショナルは一五〇周年、日本委員会としては五十周年を迎えるにあたり、記念本を作成することになりました。現代の若者が世界宣教をどのようにとらえ考えているのかを聞き、その内容をまとめて記念本の一部に掲載できないか、それが日本の世界宣教の展望として次のステップへと導くものになれば、ということになり、座談会が企画されこの日を迎えました。
 
 賛美・アイスブレイク・自己紹介のあと昼食に。容子師が腕をふるってタイのグリーンカレーを用意してくださいました。お互いに会うのが初めてという方々もおられたのですが、昼食時にはお互いうちとけ賑やかなおしゃべりが続きました。その後第二部へ。菅家庄一郎師からマタイ二八・一八~二十よりの奨励があり、座談会となりました。「世界宣教と聞いて、あなたや周りの人々はどう反応しますか?」「あなたが世界宣教に興味をもったきっかけはなんでしたか?」「世界宣教でチャレンジされたことは?そのチャレンジにどう応答していますか?」「教会やKGKで世界宣教についてどのような取り組みがなされていますか?」「現在の日本の教会の現状は?そのような状況から宣教師が派遣されることについてどう考えますか?」「教会やクリスチャンたちが世界宣教に目が開かれるために、何が必要だと思いますか?どんなことが助けになると思いますか?」等の質問に六名それぞれの思いが語られ、積極的な意見も出されました。これまで通らされてきた経験や背景も異なり、置かれているところも様々な彼らが意見を交換し合い、互いの経験や思い、考えを分かち合えたのは主の恵みでした。彼らの熱い思いや積極的な考えに、私もとても励まされました。日本の若いクリスチャン達に神様は働いておられるのを知りました。今回集ったこの六名のつながりが、お互いの励ましになるように願い、皆の今後の歩みを楽しみにしつつこの会を終えました。
 
 この座談会の内容は来年発行予定の記念本に掲載されますので、どうぞお楽しみに。

【祈りの課題】
1.9月半ば菅家師ご夫妻とリトリートの時を持ち、宣教の啓発・動員の働きのビジョンや、来年度の計画を話し合います。主からの御心が示され、良い計画を立てることができますように。またリフレッシュの時ともなりますように。
2.9月28日、長津田キリスト教会の海外宣教を覚える日の礼拝で説教の奉仕をします。主が語る言葉を与えてくださるように、また良い交わりが与えられるようにお祈りください。


「感動の台湾!」
日 本 菅家庄一郎、容子

台湾・真珠家庭園にて  七月七日~一二日まで台湾を訪問し、アジアのOMF派遣国長の会議に参加しました。それぞれの派遣国の働きを報告し、課題を分かち合い祈る時でした。毎朝ヨハネ一七章から聞き、総主事の働きも時があること、弟子たちが聖められ、謙遜を身に着け、一つとなることを通して、神の栄光が現されることなど御言葉から教えられました。
 
 各国の報告からは多くのチャレンジを受けました。香港委員会では、千四百ある教会のうち六百の教会(約四十三%)が海外宣教に積極的に関わっているのだそうです。タイ委員会では、今年の終わりに宣教大会を企画していて、約千人の参加者が与えられることを祈り、その後短期宣教チームを派遣して、アジアの国々がどのように宣教師を派遣しているか学ぶ企画を立てています。韓国委員会は二〇一五年までに、さらに二十名の宣教師が派遣されるように祈り求めています。アジアだけでも三百名以上の宣教師がOMFで働くようになっている現状に、主の御名を崇めました。
 
 七月一九日~二一日まではOCF(海外キリスト者交友会)のキャンプの講師としてお招きを受けました。
 
 都会の喧騒を離れ、山奥の静かなキャンプ場で御言葉を聞き、分かち合い、リフレッシュされる時が与えられました。ルカ一五章より、神様が私達のホームとなっているか、神様の御心を知らないで、ただ「品行方正」なだけの兄息子のようになっていないかと探られました。
 
 キャンプに参加した二人の台湾人のうち、ひとりは大学院で日本語を研究しているクリスチャンの方、もう一人はある日本の企業でただ一人の外国人として働いている方で、まだ洗礼を受けていない方です。この方(王さん)がはっきりと信仰告白に導かれ、洗礼を受けることができるようにお祈りください。(庄一郎)
 
活水泉で働く呉師(左から3人目)と神学生たちと  二〇〇八年に日本に帰国して以来、初めてアジア派遣国長会議に夫婦で参加することができました。
 
 台北から南の恒春まで、新幹線そっくりの特急電車、そしてバスで南下。窓から見える風景は山や川が多く、日本ととてもよく似ていましたが、よく見ると生えている木はバナナやマンゴー、ココナッツなどトロピカル。「日本と東南アジアの中間の国だわぁ」と感じました。会議では各国の働きを見聞きし、色々教えられ励まされました。
 
 派遣国会議の後は台北に戻り、真珠家庭園を見学することができました。そこは木下先生と長く活水泉で共に働かれたテラ師が、売春婦の更生をサポートする働きとして始められたものです。丁度手芸の時間が終わったところで、皆さんとても温かく迎えてくださいました。テラ師は更生中のある女性を自宅に迎え、一緒に生活しておられるそうで、その犠牲的な働きに感動を覚えました。
 
 その後、そこからすぐ近くだと伺い、テラ師に頼んで活水泉にも案内して頂きました。今その働きを担っているのは台湾人の呉師夫妻です。呉師は開口一番こう言われました。「理恵子先生を台湾に送って下さってありがとうございます。宣教師が送られて活水泉は始められましたので、毎週礼拝では世界宣教のため祈っています。」活水泉には数名の若い神学生が手伝いに来てくださっていました。テラ師はその様子を本当に嬉しそうに感謝しておられました。
 
 それから台北チームの夕食会に参加させて頂きました。右隣には少年院で奉仕するマーガレット師。左には店員さん伝道をされているエリサベス師。毎月台湾から送られてくる祈りのレターで名前だけ知っている方々にお会いでき私は感激。台湾チームは教会が届いていない社会の底辺の人々に仕える奉仕に専念しており、その働きはテラ師の働きに代表されるように大きな犠牲が伴います。それなのにそのチームの皆さん、なんと明るく個性的だったことでしょう!愛とタフさ、忍耐と柔軟さ、そして希望!キリストの人格にふれ、大いに励まされて帰ってきました。(容子)

【祈りの課題】
1.OCFキャンプに来られた王さんがはっきりとイエス・キリストを信じ、洗礼にまで導かれますように。
2.9月21日には宣教の自由のない国で働くN師の派遣式, 28日には佐味湖幸師の派遣式があります。それぞれの派遣式に集まった者達が、心を合わせて祈り、ワーカーを送り出すことができますように。


「ボランティアの機会」
タ イ  坂本朋子

短期ボランティアの下村姉(右)と  日本も梅雨が明けて段々と暑さが厳しくなっているようですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?私は暑さにも段々慣れてきて、体調も守られて過ごしています。タイ語も徐々に戻ってきていますが、やはり言葉の学びは忍耐と努力を要します。皆様のお祈りに感謝いたします。前回はOMFの同僚との再会について書きましたが、ロッブリーに来てからは、タイ人の知人友人との再会も多々ありました。以前お隣に住んでいたトイおばさん、近いうちに引っ越すかもしれないと言っていたので、もう会えないかもしれないと思っていたら、まだ同じ家に住んでいました。おばさんはロッブリーに住んでいる宣教師とある時道端で会い、私が日本に帰ってしまったことを聞いて私のことを心配していたそうです。そこに私が突然現れたので、驚きながらも私が元気になって戻ってきたことを喜んでくれました。神様がこの二年近くの間に、どのような素晴らしいことをしてくださったかを証することができました。
 
 今期タイに戻ってきて痛感することは、収穫は多いが働き手が少ないということです。私はまだどこに派遣されるか検討中ですが、どの地域のリーダーと話しても、人手が足りないということを言われます。そのような中、現地のミニストリーを手伝ってくれる人たちが短期のボランティアとして、特に夏休みなどを利用してやってきてくれることは感謝なことです。毎年夏に行われている「サッタ(タイ語で信仰の意味)・サッカー」では、様々な国から来た青年たちが、宣教師と一緒に中央タイの教会開拓をしている地域を巡回し、地域の小中学校などでサッカー・クリニックを開催したり、英語を教えたりしながら、地域の人々と教会の架け橋として用いられています。
 
 また日本人の短期ボランティアが、現在中央タイで奉仕をしています。下村かおりさんはアメリカでクリスチャンになり、長い間ニュージーランドのクライストチャーチに住んでいた方です。姉妹は私が昨年NZに滞在していた時に、クライストチャーチ日本人教会の渋沢宣教師宅で出会った方です。タイ宣教の働きの報告を聞いて海外宣教の働きに関心を持つようになり、このたびサーブアジア(短期宣教プログラム)を通して三か月の予定でタイにやってきました。現在タイ人女性牧師のポーン師のもとで奉仕しており、八月半ばからは学生伝道の働きのお手伝いをするそうです。姉妹のタイでの奉仕が用いられますように、また今後の導きのためにもお祈りください。日本からも彼女のように一歩踏み出して、ボランティアとして奉仕する人々が起こされることを願っています。

【祈りの課題】
1.トイおばさんがイエス様に出会うことができますように。神様がどんなお方か証する機会が与えられますように。
2.短期で奉仕に来るボランティアの中からも、長期の働きに献身する人々が起こされますように。

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