2011年8月号
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「日本の教会の優しさ」
日本 木下理恵子
節電の暑い夏が始まりました。階段をバタバタ上がったり下ったりしてかいた汗を拭きながら、台湾の事を思い出しました。「そうだ、暑い時はゆっくり動かなきゃダメなんだ。こんなにバタバタしたら、汗かいて、体力消耗するだけだ。」台湾にいた頃は、暑い中走って横断歩道を渡っている日本人観光客を見ながら、「夏の台湾で走るのは日本人だけ。」と思っていました。それが今は暑くても、すっかり日本のペースで動く日本人になっている自分に可笑しくなりました。
先日の中国語集会に新しい中国人青年が来ました。この青年が礼拝出席した日本の教会の牧師が、わざわざ中国語集会にまで彼を連れて来て下さいました。お忙しいのに、一人の中国人青年に対する大きな愛を感じました。
現在日本には八十万人以上の中国人が住んでいます。日本各地の多くの教会で、この様な中国人たちが礼拝に出たり、求道したりしています。「中国語が出来ないのでどうすればいいのか。」「今こんな問題に直面している。」「こう言う事があるが、向こうの文化なのだろうか。」等々、時折相談されたりします。でも実際の状況やその発展を聞いていると、中国語が出来ないのによくこれだけでき、主が働かれるなと驚かされます。また教会全体でその中国人たちのために祈っていたりします。やっぱり祈られているから違うんだ、と祈りの力を思わされます。
クリスチャン中国人の場合は、教会の中で奉仕を始めたりもしています。自分なりに仲間の中国人に伝道する方法を考えて、やったりしています。それを教会の日本人の方々も喜んでいて下さいます。
中国人たちが、この様に教会の一部として受け入れられ、大切にされている事、日本の教会の皆様に感謝です。主が更に中国人と関わって下さっている一つ一つの教会、一人一人の日本人の方々を用いて下さる様に、主の業を体験なさる事が出来ます様、そして中国人も日本人も共に主の祝福を受け、一つの御からだとして成長していけます様にお祈り下さい。皆様のいつものお祈り、どうもありがとうございます。
「ディアスポラ伝道って何?」
日本 ディアスポラ伝道 横山好江
ディアスポラ伝道と聞いて、どういう働きなのかよく分からないというご意見を時々聞きます。OMFの宣教活動の対象は東アジア人です。例えば、タイ、フィリピン、日本などの東アジアの国々に住む人々です。「ディアスポラ」とは新約聖書に出てくる言葉で、「離散の民」の意味です。迫害などの理由で、信者はエルサレムから遠く離れた地に移り住まねばなりませんでした。神はその移住を福音宣教の前進のために用いられました。OMFディアスポラ伝道部は、自国外に住む東アジア人を対象としています。例えば、イギリスに住む中国人、アメリカに住む日本人、スイスに住むタイ人などです。使徒一七の二六「一人の人からすべての民族を造り出して、地上の至るところに住まわせ、季節を決め、彼らの居住地の境界をお決めにな」った神は、グローバル化が進むこの時代、様々な理由で異国の地に住む東アジア人に、キリスト者との出会いを与え、聖書に導き、教会に導き、イエス・キリストを主と告白するように導かれます。OMF宣教ニュース四月号巻頭言でディアスポラ伝道が取り上げられました。イギリスで聖書を初めて読んだ無神論者の中国人が主を信じた。イギリスで初めて教会に行き、主の導きのうちにそこで洗礼を受けた日本人。このように、ディアスポラ伝道部では自国外に住む東アジア人を対象として福音宣教を進めます。そして、彼らが母国に戻った後も主と共に歩み続けるように励まします。また、この働きに加わって下さる奉仕者を募り、訓練します。ロンドン日本語教会の牧師として奉仕しているヤング師から嬉しいニュースがありました。七月に二週続けて洗礼式が予定されているそうです。 ドイツのナイツル師より。「女子サッカー・ワールドカップが行われる中、団扇を配ります。片面に日の丸、もう片面には福音放送の情報。電話をかけるとクリスチャン選手の証しが聴けます。」スポーツを通して創造的に伝道活動を続けているナイツル師のためにもお祈りいただけると感謝です。
ディアスポラ伝道部の働き人のほとんどが、宣教地から母国に戻って、そこに住む東アジア人に伝道しています。宣教地で奉仕していれば四年務めた後、一年間一時帰国し教会を巡回して働きの報告をするというパターンですが、母国で奉仕していると、このパターンを維持するのが困難になります。この事も一因となって、働き人の経済的必要が満たされないケースがあります。「宣教地で働いているから宣教師なのであって、母国に戻ったら宣教師じゃない」という考えがあるため、母国に戻ったら支援を打ち切る、ということも起こっています。経済的に困窮する働き人の必要が満たされるようにお祈りいただけると幸いです。
「半殺し、手打ちとならず、袋叩きでよかったね」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
「ウィタヤーが病院に運ばれた! 北タイ人三〇人からリンチを受けた」と知らせを受け、夜の祈祷会を中止、病院へ急いだ。救急室で処置を受けている。家族と教会員とで固唾を呑んで待った。
二〇一〇年五月号で「七人の女モーセたち」について書いたが、その一人フェイチヤム姉の長男がウィタヤー君。今年ミェン族青年キャンプに参加してから信仰が活性化。インターン神学生貴(たかし)兄の助手として青少年たちをリードし、夜は母親と祈祷会にも来るようになっていた。その矢先の事件。
元はと言えば他人の悪事が発端で、謂われ無く、その復讐に遭ったのだ。数ヶ月前、我がタンマジャーリク村の若衆七〜八人が数人の北タイ人の青年に大怪我をさせた。その親たちが罰金を要求したが、タンマジャーリク村の親たちは半額しか払えないと言った。「罰金をまけろとは何事だ!」と怒った北タイ人たちは「一銭も受け取らない!」と言って復讐の機会を狙っていた。タンマジャーリク村の若者なら誰でもよかったのだ。
土曜の昼下がり、ウィタヤー君は沼へ釣りに行った。餌が無くなったので、街へ買いに行った彼は目撃されてしまい、まずそこでひとしきり殴られた。(タンマジャーリク村民かどうか確認したらしい。)バイクで逃げたが大勢で追跡された。村の方角へ逃走中に転倒、三〇人の大人から殴打を受け、略奪され、釣りをしていた沼の傍らに投げ捨てられた。自力で最も近い中国人の村へ助けを求めに行こうとしたが、力尽きて路上に倒れ伏し気を失った。たそがれどき、探しに来た父親に保護され病院へ。 頬骨あたりと顎を三針ずつ、口内を四針縫い、腹部には大きな靴跡が数週間残った。全身に打撲と擦り傷と踏み傷を負ったが、頭部CTスキャンでは異常はなかった。
翌週の日曜礼拝の後、彼の自宅に教会員が集まり家庭礼拝を行った。次の五項目に関して聖書を学び心合わせて祈った。
(一)恐怖の記憶を神様が取り除いてくださるように祈る(イザヤ四一章一〇節)。(二)神様の守りを感謝する(詩篇三四編二〇〜二二節)。(三)神様が警察を用い正義を行ってくださるように祈る(ローマ一三章一〜四節)。(四)村民が様々な罪を捨て、村全体に聖霊の働きが行われるように祈る(第二歴代誌七章一四節)。(五)加害者と、発端となった傷害事件関係者を赦すことができるように祈る(ローマ一二章一九〜二一節)。
死んでいたかもしれないこの出来事を通して、ウィタヤー君は神様を心から愛するようになった。貴インターン神学生の指導のもとバプテスマへの準備をしている。
(「北タイ人」とは中央タイのタイ人とは別の言語を話し、独自の文化と歴史を持つ民族で、坂本朋子師の奉仕するランパーン県とその東西のプレー県ランプーン県以北の九県に住む人々です。)
「震災ボランティアに参加して」
日本 佐味湖幸
「百聞は一経験にしかず」最近、震災ボランティアに参加した知人がブログにこう書いていました。実際に見て、聞いて、嗅いで、体を動かし、被災者の方々と交流することによって初めて、テレビや新聞からの情報では知ることの出来ないことを学び、経験できます。これは短期宣教旅行と同じだと思いました。
六月二十日から二十四日まで、日本ナザレン教団国際援助委員会主催のボランティア活動に、私の母教会が属する福音交友会から私を含む教師四名が参加し、ナザレン教団の方々五名と一緒に活動させていただきました。
私たちは東松島市、石巻市で側溝、家屋の床下、お庭の泥だしをしました。どこも泥は真っ黒な油を含んだヘドロ状態で独特な悪臭を放っていました。一日かかってやっと数十メートルの側溝をきれいにしたのに、水が流れないのにがっかり。地震により地盤沈下が起こり、土地の高低が変わったり、また下水溝がずれたりで、水が今までのように流れなくなってしまったようです。ちょうど東北地方は梅雨入りしたばかり。これからの季節、下水が思うように流れないとどうなるのだろうかと心配です。
二十四日でナザレンのボランティアは終わりましたが、私はその週末、大阪の母教会から駆け付けた姉妹と共に、基督兄弟団石巻教会のお手伝いをさせていただきました。
伊藤牧師の御嬢さん宣子さんと息子さん克さんと共に、仮設住宅に移ったばかりの方々をお訪ねすると、あちらの方から震災当時の様子や今後の不安などを話されました。その顔にお疲れの様子が色濃く出ているのを見て、本当に心が痛み、祈らされました。ローマ一二・一五「喜ぶ者といっしょに喜び、泣く者といっしょに泣きなさい」のみことばが心に響いていました。
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