2010年7月号
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「帰国恐怖症」
北タイ・ミェン族 有澤達朗、たまみ
帰国直前というのはいつものことながら、荷造り・整理でてんてこ舞いの私達。どうしてこんなに物が多いのか。あぁどうしよう、これでは出発に間に合わないかも‥‥と悲観的になっている。今回は大家さんも含め多くの人から「本だけはキチット片づけて行って下さいよ。ねずみ、蟻、蛇防止です。」と言われている。「防止」といっても、すでに彼らと共存しているのにどうするの?
彼らから本を守るには密閉できるドラム缶やブリキのケース、又は硬プラスチック製の箱が一番。今期が始まった三年前、しまっておいた荷物を解いて驚いた。ねずみも「家庭医学」をかじっていたのだ。そして、蟻が神学書から養いを得ていたこと。書籍がこの三年で更に増え、蛇の格好の隠れ家になりそうだ。今の所蛇は天井裏で待機?していて、私たちが出て行くと降りてくる様子だ。
さぁ荷造りがんばるぞ、と気合を入れた矢先に、突発的なことが幾つか起こり、荷造りは中断に次ぐ中断。荷造りで疲れ果てて帰国、ということにならないよう、また、今月中旬までの準備期間中、十分に休み巡回報告を始めることが出来ますようお祈りください。(たまみ)
「帰国」と言っても「帰る」のか「行く」のか分からなくなりました。メーチャン地区五教会と生徒寮リーダーたちの月例祈祷会で「日本へ行くにあたっての祈りの課題は何ですか」と聞かれました。第一にお願いしたことは、高齢の親たちがイエス様の愛を知り、救い主として信じることができるように。第二は、今の日本を知ることができるように。
この三年間に少なくとも三十人の日本人の訪問を受けましたが、接して見て日本に行くことに恐れを感じます。最大の恐怖と悲しみは年間の自殺者が三万人を超えて十二年。もうひとつは、私たち夫婦が使っている日本語とは違う日本語が話されているのではないだろうかという不安。教会にお伺いしてお話ししても通じないのではないか、という恐れです。
「日本語はこの日本人の社会性あるいは非社会性が代表的に示されるよい例であるが、人称がはっきりせず、敬語法が複雑に発達したこの日本語が示すように、上のような『一人称の主体性が確立されていない』性格は日本人の根底までしみこんでいるのであって、単なる心掛けや修養で改めることなど出来るようなものではない。長い外国生活はそのことを気付かせてくれたと思っている。」(森有正「変化と交代の時代に」昭和四十六年七月二十二日付朝日新聞夕刊)
今回戻ると何に気付くでしょう?いろんな事、教えてください。(達朗)
【祈りの課題】
1. 今の日本を理解できるように。
2. タンマジャーリク教会の代表役員が8月から新会堂建築に取り掛かろうとしています。多くの会員の賭博、飲酒、その他の問題を放置したまま、外面的な建築に関心を寄せていることに対して、「7人の女モーセたち」(5月号参照)は心配して祈っています。代表役員が霊的なことに対して関心を持つようにお祈りください。
「とりなしの祈り」
日本 佐味湖幸
この春、世界各地から本当に心の痛むニュースが相次ぎました。アイスランドの火山噴火や中国青海省大地震など大変な自然災害が相次ぎました。また東南アジアはひどい酷暑で、死者が出るほどだったところもあるようです。タイの騒乱、韓国哨戒艦撃沈事件など、政治的対立によって、多くの人の命が奪われるということもありました。
国内においても、毎日のように報道される幼い子供の虐待、口蹄疫の問題、政治の混乱など、報道を読んだり、聞いたりするだけで、暗い気持ちになることが多くあります。
五月のある日、時間をかけて新聞を読んだ後、祈りだし、急に涙が出て来て止まりませんでした。神様は、この世界をどのように見ておられるのだろうか。どんなに心を痛めておられる事か。人間の愚かさ、罪深さ、また憐れさを思い、その私たちに救いの手を差し伸べておられる父なる神の愛とイエス様の犠牲を思わされました。アブラハムやモーセのように、またエルサレムのために涙を流されたイエス様のように、破れ口に立って、とりなしの祈りをささげるものでありたいと思います。
五月は、京都の教会二か所、奈良の教会二か所を訪問しました。伝統、慣習や文化を重んじ、また仏教などの宗教色の濃い土地で宣教の戦いを続けておられる教会のためにも、祈りたいと思います。
【祈りの課題】
1. 7月17、18日は高槻福音自由教会の教会学校キャンプで講師として奉仕をします。聖霊の助けによって、よい御言葉の準備と奉仕が出来るように。参加する子供たちが、イエス様と出会い、信じ従う決心をする事が出来るように。
2. 8月5日から25日まで、短期宣教プログラムでタイ・バンコクに青年3、4人と一緒に行きます。最終的な準備のためにお祈りください。
「神の臨在の中で」
カンボジア 今村裕三、ひとみ
昨年末、新役員が選ばれて以来初めてカンボジア教会交友会(FCC)の役員会が五月一日に持たれました。その間に積まれた祈りのお陰で、その会議はとても祝福されました。まず、FCCのビジョンと宣教理念を再確認し、長期的ゴールを決めました。各教会毎に忙しい中で何をFCCとしてすべきか神様に聞きました。その結果、「八年後までに、FCCは三十の新加盟教会と十人のカンボジア人宣教師が与えられるように、そして五百人のリーダーを訓練できるように祈り、協力していく」ことが決められました。何と大きな目標だろうかというのが私の正直な最初の感想でした。このような役員が与えられたことに主に感謝しました。これらの目標を実行するのは容易ではないと思われますが、宣教の主に導いていただきたいです。実際に具体的な目標が掲げられたことで、FCCの存在意義としての「お互いに祈り、協力して宣教をしていくこと」と各教会で忠実に仕えることが明確になればと願います。
祈って下さったOMF国際本部での会議も、主の臨在の中で様々なことを話し合うことができました。このような大きな会議には初めて参加しましたが、結論を急ぐのではなく、キリストの身体として与えられている違いを受け入れつつ、信頼関係を築きながら主の御心を求めていく会議に、主が今も生きて働いて下さっていることを見ることが出来、大いに励まされました。OMFのリーダーたちのためにも執り成しの祈りをして下されば幸いです。(裕三)
「シモンには将来、牧師になって欲しいの」半年振りにクラチェ教会を訪問した時に、セイハー牧師の妻メカラーが言いました。十分とはいえない給料、結婚してから夫は腰痛・腹痛がひどくなり、歩き方はまるでおじいさんのよう、二十三歳の若い彼女にとって苦労は絶えません。その中で彼女が、牧師である夫の仕事に誇りを持っていることを嬉しく思いました。
クラチェ教会は新来会者が十名ほど与えられ、お祈りいただいていたセイハー先生の腰は少し痛みがましな様子で感謝です。しかし、高齢のリン姉やキム姉が病気ですし、今年洗礼を受けた四名は、受洗後クラスになかなか参加できない等の問題も抱えています。やはり、田舎での伝道はたやすくはないと思わされました。
その中で、ナリー兄(二十八歳)がリーダーとなり活躍しています。彼は十歳の頃に川で遊んでいて小さい虫が体の中に入る病気になりました。その後の治療が不適切だったためか発育も悪く、私が最初に出会った二十四歳の時には、顔色は悪く背も低く、腹部がまるで妊婦のように腫れ、体のあちこちに痛みがあり、短気で怒りやすく友達もおらず、家族も扱いに困っていました。
周囲も私も四年前には、彼はもうすぐ死ぬのではないかと思っていました。その彼が神様を信じ、その後徐々に癒され、体調も良くなり、なんと「家畜の世話をする勉強をしたい。そうしたら人に教えることができるし、伝道にも役に立つ」と言い出しました。教会の中でも新しい人に積極的に話しかけるようになり、開拓伝道の手伝いも始めました。「人を変える力があるのは神である」ことを本当に嬉しく思いました。彼が将来、神様に忠実に仕えていくことができるようにお祈りください。(ひとみ)
【祈りの課題】
1. 7月1日から新しい家に引っ越しする予定です。大家さんとの関係が祝福され、よい証をたてることができますように。
2. OMFから独立したクラチェ教会(セイハー師)とポチェトン教会(ソムナン師・ラタナ師・スレイポウ師)の歩みのために。御言葉に生き、教会員を御言葉によって養い、神の元に導くことができますように。
「時が良くても悪くても」
タイ 坂本朋子
タイはやっと雨期らしい季節に入ってきました。時折激しい雨が降り、そのあとは少しだけ涼しくなります。いつも皆様の祈りに支えられていることを心から感謝いたします。ここ最近タイ国内における反政府デモ隊と現政府の衝突による混乱がありましたが、私の身辺と私の今住んでいるロッブリーは幸い何事もなく平穏無事です。しかしながら、タイの国を愛しこの国で主に仕える者として、このような争いを見る時に本当に心が痛みます。
五月某日、私はビザの更新のためマレーシアのペナン島に行かなければなりませんでした。ペナンのタクシー運転手は、タイのこの混乱でペナンにも観光客が来なくなってしまったとぼやいていました。事実ペナンからバンコクへの飛行機は空席が目立ち、バンコクのスワナプーム空港に到着すると、今まで見たこともないくらいに人の気配がなくガランとしていました。いつもなら長蛇の列ができるタクシー乗り場も人がほとんどいません。高速道路から街の中心を見ると、二、三箇所から黒い煙が上がっており、バンコクの空を暗く覆っていました。それを見た時は、怖いというより悲しい気持ちでいっぱいになりました。バンコクの中心にあるセントラルワールドという有名デパートに火がつけられたということを、ロッブリーに帰ってから知り大変ショックを受けました。反政府デモ隊が集会解散を宣言したことに対して逆上した残党が、このような破壊行為を行ってしまったのですが、ここ最近の政治的対立で微笑みの国タイから人々の笑顔が減ってしまったことは事実です。現在(六月初)状況は落ち着いてはいるものの、この国の政治がこれからどうなっていくかは予測するのが難しいと、タイに長くいる宣教師も感じているようです。しかしこのような暗く不安な時代だからこそ、教会や教派を超えてタイのクリスチャンが一致して祈り、福音を述べ伝えていくべき時だと感じます。実際多くの教会で祈りの手が以前にも増して上がっているのも事実です。しかし一方ではこの政治的なことが原因で、分裂が起きている教会もあるということも聞きます。どうかタイのクリスチャンが心を一つにして、この国の人々の救いのために働くことが出来ますようにお祈りください。
私自身のことですが、あと二カ月強でロッブリーでのレベル一の語学研修が終わり、新しい場所に移ります。いよいよこれからという時に、このようにタイが混乱した状態にあり不安がないわけではありません。しかしある日のタイ語のレッスンの中で、先生と神様に仕えることについて話していた時に、今の私にとって大切なことは、今するべきこと(言葉の学び)を地道に行い、目の前に与えられている人々を愛し続けることだということを改めて教えられました。この国の将来も私のこれからの歩みも、全て神様が主権を握っています。時が良くても悪くても主と人々に仕え、与えられているどんな小さなことも誠実に行っていくことができるようにどうぞお祈りください。
【祈りの課題】
1. 政治的混乱の中で希望を失っているタイの人々がキリストに出会うことができますように。そのためにタイのクリスチャンが一致して祈り、福音を大胆に伝えることが出来ますように。
2. ロッブリーを去る前にここで出会ったタイの人々と良い交わりが出来ますように、その中でキリストの愛を伝えることが出来ますようにお祈りください。
「主自らの弟子訓練」
日本 木下理恵子
ずっと暖かい陽だまりに座っていたいと思わせるような春の日は、今年はそんなになかったような気がします。ずっと涼しいまま梅雨に入るのかと思ったら、なんとも爽やかな天気の日が続いています。皆様、お元気ですか?
いつもの皆様のお祈り、ご献金をどうもありがとうございます。お祈り頂いている弟子訓練、一人はヘルパーの資格を取る講座に出始め、来られなくなりました。もう一人は体調をかなり長い間崩し、未だに復帰できません。そうした中、続けている二人が、いろいろ主に内面を探られ、取り扱われています。L姉妹は夜勤を始め、日曜礼拝に来られなくなりました。それでも弟子訓練だけは続けて来ました。その中で「安息日を守る事」を示され、自分から日曜日に休みを取るようになりました。土・日の方が時給は良かったのですが、主よりもお金を愛する自分がわかっての変化です。C姉妹は深い悔い改めに導かれました。誰にも言えなかった過去の罪を一つ、また一つと涙ながらに悔い改め、主による解放を体験しました。この弟子訓練、人数は少ないですが、主がご自分の弟子を作っておられる、その現場で見させて頂くようで、ちょっと感動しています。
このC姉妹が以前中国語集会に連れて来て、一緒に聖書研究をしたいと、皆様にお祈り頂いたOさんとの聖書研究が遂に始まりました。お祈り、感謝です。Oさんの日本人のご主人は失業中で、教会に行く交通費も節約したいとの事で、彼女の家に行っての聖研です。聖書から学ぶ時、O姉妹はとてもよく真理を掴み、理解します。更に真理を知りたい、神様の事を知りたいとの求道の心もあります。でも同時に自分の事、境遇になると「これも私の運命」と、先程までの学びと関係なくなってしまいます。O姉妹が御ことばの真理をご自分に適応できるよう、主を信じることが出来るようお祈り下さい。そして中国語集会にも定期的に来る事が出来るようお祈り下さい。また一緒に行っているC姉妹も、こうした伝道的聖書研究をどのように導くか、学ぶ事が出来るようお祈り下さると感謝です。とても良い弟子訓練です。
去年洗礼を受けたカンボジア系のA姉妹も、少し遅くなりましたが、月一度弟子訓練を始める事になりました。彼女も主にあって成長していけるよう、主を信じて本当に良かったと、主の豊かな命を体験していけるようお祈り下さい。皆様のいつものお祈り、ご献金、いろいろなお励まし、本当にどうもありがとうございます。主の祝福をお祈りします。
【祈りの課題】
1. 伝道的聖書研究を始めた中国人Oさんが、はっきりと福音を理解し、主を信じることが出来るように。失業中の日本人のご主人に仕事が与えられるように。Oさんが中国語集会に定期的に出席するように。
2. 弟子訓練に出席している姉妹たちが、聖霊に内面を探られ、変えられていて感謝。学びを更に自分に適応していけるように。新しく学びを始めるA姉妹も、信仰が成長していくように。
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